複雑系の認識論(12);ヒトがミスを犯すとき

  最近、周囲の人の影響もあって将棋に関心がある。今日もNHKで将棋の番組を見たのだが、今回は谷川名人と森内二冠の対局。これまでのこの二人の対戦成績は21対24でほぼ互角の勝負。これはいい試合になりそうだと楽しみに見ていた。ところが打ち始めてわずか3手目で谷川名人は長考する。おそらく予想外の展開だったのだろう。その後、気をとりなおして何事も無かったかのように谷川名人は打っていったのだが、終盤に差し掛かって、解説の郷田9段がまさかこの手は無いだろうと予想していた悪手を谷川名人は打ってあっさり負けてしまった。
  おそらく谷川名人ほどの人なので、落ち着いて考えていればあのような悪手は打つはずもないのだろうが、気分的なものが影響していたのだろうか。あの3手目の長考も影響したのか。
  ヒトは冷静さを失うとき、普通の状態に比べて視野が狭くなる。注意をいろいろなところへ配れなくなってしまう。その結果、判断を誤ってしまうことがある。
  追い詰められたときにも落ち着いていられること。そして予期しない悪い出来事のあとで気分を振り返られること。これが精神力の強さというものだろう。精神力とは忍耐力・集中力・楽観主義である、というのはある人から聞いた言葉。
  しかし、なかなか思い通りにはいかない。
by ykenko1 | 2005-02-20 17:24 | 認識論 | Comments(4)
Commented by homeandhome at 2005-02-20 20:27
特に、人と人とのギャンブルの場合、それが顕著ですね。楽観的にならなければ進まないのに、悲観的になってしまったり・・・。私は多分忍耐力が足りません。
Commented by ykenko1 at 2005-02-20 20:36
私も予定外のことが起こると結構あわてふためいてしまって、臨機応変というのが苦手ですね。場数を踏むしかないのでしょう。
Commented by halfmoon81 at 2005-02-20 23:51
お久しぶりです。
精神力の強さの要素のなかで、楽観主義というのが 一番重要なのかもしれないと 最近感じています。
中学生の娘は、小さい時から海外転校を経験しているせいか、予期せぬ悪い出来事に関して 気分転換が上手です。確かに海外では日本の常識が通用しないことが多いので、いちいちパニックしていたら 病気になってしまうかもしれません。 私は、すぐ「どうしよう、、、」と悩んでしまします。
Commented by ykenko1 at 2005-02-21 00:04
そうなんですかー。実は私も小学生の時、ニューヨークに1年ほど行ってたことがありましたが日本人とばかりたむろしてましたね。それから転校もよくしていましたが、気分転換は下手です。一方、私の弟は上手ですね。キャラクターもあるかもしれません。
私がニューヨークにいた時は黒人や白人や中国人やいろいろな人種がいて珍しかったですね。あとは地下鉄がスプレーの落書きで汚れてたのを覚えています。雪の積もった公園でそりをしたのが良い思い出です。


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