パターン特異的反応性(PSR; Pattern Specific Reaction)(2)

さて、私の考えるパターンについて分かりやすく定義すると「パターンとは事物の特徴の組み合わせである」と言うことになる。ここで私が問題提起したいことは、そのようなパターンが問題になるのは、果たして多数の要素が相互作用するようなシステムにおいてだけなのであろうかと言うことである。もっとシンプルなシステムにおいてもパターンが重要な役割を果たしてはいまいか?

例えばスイッチを考えてみよう。電池があって、電球があって、銅線があって、スイッチがあるような回路である。スイッチを押す時はもちろんエネルギーが必要であるが、同じエネルギーを投入してスイッチ以外の場所を押しても、このシステムでは何も起こらない。スイッチを押した時のみ電球が点く。ここにおいて投入されたものは何であろうか?スイッチの場所と言うシステムにおける特異的な場所でのエネルギーの投入と、スイッチが入ることによって銅線がつながるというパターンの変化である。システムの関係性の変化と言っても良い。それは量の変化とは別ものである。スイッチ以外の場所で強い力で押したとしても、それに比例した変化は生じない。

別の例を挙げる。二つのボールA,Bの衝突を考えてみよう。台の上で運動する二つのビリヤードボールが衝突する場面を想像してほしい。この現象において、衝突の前後で作用反作用の法則や運動量保存の法則が成り立つ。しかし衝突と言うイベントが発生するかしないかについては、AとBそれぞれがどういう速度でどういうタイミングで運動しているかと言う時間的な関係性とどういう方向で運動しているのかと言う空間的な関係性が関わっている。それは量の問題ではなく、量の組み合わせの問題である。

量とパターンとは違うのである。(これは実はベイトソンの言葉だ。cf.『精神と自然』)
by ykenko1 | 2014-02-04 23:31 | 情報論 | Comments(0)


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