情報の歴史;白い本と黒い本

2013年の初頭に出版された情報の歴史に関する二冊(本の装丁が白と黒で対照的になっている)。

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『インフォメーション情報技術の人類史』はジェイムズ・グリッグによって書かれた。グリッグは『カオスー新しい科学をつくる』の著者として有名。トーキングドラムの話から始まって、文字の発明、印刷の発明、辞書の話、バベッジの階差機械、モールス信号、シャノンやチューリングの話、ランダムネス、情報は物理的、遺伝子、ミーム、インターネット、など。以前、私のブログで紹介した『量子が変える情報の宇宙』が理系版の情報の話だとすれば、こちらは文系版の情報の話。様々な歴史上のディテールが詰まっている。私はバベッジとエイダ嬢の話やベル研究所におけるシャノンとチューリングの会話などのエピソードが気に入った。強調されているのは情報理論のシャノンについての話。シャノンの短い結婚生活の話も書かれているが、シャノンさんにはお気の毒だが奥さんの立場に立てばさもありなんと言う気がした。

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『チューリングの大聖堂』はジョージ・ダイソン著。ジョージ・ダイソンは有名な物理学者フリーマン・ダイソンの息子。万能型の天才フォン・ノイマンを中心として、いかにしてチューリング・マシンのアイデアを現在最も普及しているプログラム内蔵型コンピューターと言う形で現実化していったか、と言う話。プリンストンの高等研究所を中心として多くの優秀な人材が集まり、フォン・ノイマンの指揮によって数年間と言う短期間で作り上げられた。コンピューターの開発は水爆の開発と対をなすものであった。現代における最も破壊的な道具と最も生産的な道具は同時に生み出されたと言う歴史的な皮肉。本書を通して、以前よりもコンピューターの仕組みがイメージできた。そのアイデアのコアはランダムアクセスメモリであった。(フォン・ノイマンは元々純粋数学に関心があったが、ゲーデルの不完全性定理を知ることによって純粋数学の限界を悟り、純粋数学よりも応用数学に関心が移行し、それが彼をコンピューターの開発に向かわせたのであった。)

何故、このように同時期に情報関連の歴史の本が出版されたかを考えると、情報やコンピューターが我々の社会に革命をもたらし、定着してきた今、その源流を振り返る時期と言うことなのだろう。
by ykenko1 | 2015-06-27 22:21 | 情報論 | Comments(0)


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