『量子が変える情報の宇宙』メモ

『量子が変える情報の宇宙』ハンス・クリスチャン・フォン=バイヤー(日経BP社)

何故これまで物理学の用語の中に情報が入らなかったのか?
情報-主観性を含む。主観性と客観性の中間領域。
「情報が物質と精神のつながりをもたらす」(ファインマン)

情報=関係(パターン)の伝達
BIT(0または1)からQUBIT(0と1の絡み合わせの状態)へ。
情報と確率の関係。ベイズ確率。
コペンハーゲン解釈;物理学は実在についての学問ではなく、情報についての学問。
ザイリンガーの原理;一つの基本系は1ビットの情報を伝える。
「(ITはBITからなる)このタイトルによって象徴される考え方とは、物理世界の全ての特徴が、その根底、大半の場合は最も深い根底に、非物質的な源と意味を宿しており、我々が現実と呼んでいるものは、イエスかノーかで答える質問と装置が起こす反応の記録を基にした、最終的な分析から生じてくるものである、というものだ。」(ウィーラー)
 「簡単に言えば、全ての物理現象は、元をたどれば情報理論的な存在であり、それは『参加型宇宙』に存在しているのである。」(ウィーラー)
実在の根底に情報(経験)がある。すべての科学的な事実は経験に基づいたものである。
「ITすなわち物質世界はその全体あるいは一部分がBITすなわち情報から作られている」「いつか我々は物理学全体を情報という言葉で理解し表現できるようになるだろう」「(参加型の宇宙)宇宙は完全にあちら側に存在していて発見されるのを待っているのではなく、我々が問いかける疑問やそれに答えることで得た情報そのもののよって、宇宙の一部が形作られる」(ウィーラー)

情報の意味論的側面;情報容(information content; CONT),総情報量(ザイリンガー、ブルクナー;量子論的なCONT)。驚きや信憑性(コーリ)と関連。

ベイズ理論、ランダム性についておまけで勉強になった。
by ykenko1 | 2006-08-14 17:28 | 情報論 | Comments(6)
Commented by あっきー at 2006-08-14 22:14 x
はじめまして。自分は、老人保健施設で働いています。認知症のことを勉強しなければなりません。友達にいいブログがあるからって教えてもらいました。これからちょくちょく覗かしてもらいます。よろしくお願いします
Commented by ykenko1 at 2006-08-14 22:21
あっきーさん、こんにちは。時々、痴呆症(認知症)と関係ないことも書きますが、よろしくお願いします。
Commented by RT at 2006-08-15 07:50 x
 かねてから関心はあるけど、自分の頭が追いついていかないのが、「物理学と情報」という分野でありました。日本での先達は愛媛県出身の故、品川嘉也先生で「意識と脳」という著書に書かれていましたが。
Commented by ykenko1 at 2006-08-15 08:32
量子力学において観測問題として観測の主体と客体の関係が分離できないことが明らかになり、その主体と客体を結ぶのが情報ということになるようです。また熱力学のエントロピーは物体間の関係性に注目したもので、それが情報と捉えられるとのことでした。その証拠にボルツマンのエントロピーを表す方程式はシャノンの情報の方程式と全く一致します。生物学においてはDNAの発見以降、すでに情報という概念が正面から取り扱われていますが、今後物理学においても注目されるものと思われます。
Commented by F at 2006-08-16 09:35 x
物理学もだんだんBuddaの世界に近づいてきましたか?
Commented by ykenko1 at 2006-08-16 10:58
ある意味、そう言えるかもしれませんね。以前にも書いたのですが、自然科学も半分は現実、半分は虚構の世界に足をつっこんでいますから。リアリティとは何か、と言うことが問い直されているのでしょう。


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