カテゴリ:物理学( 8 )

決定論と非決定論

以下は私の知人の説。

通常のレベルの世界における物理学は決定論で、実際に何が起こるかは自然法則によって決まっている。しかし量子力学の世界では自然法則が決めるのはある出来事が起こる確率のみであって、実際に何が起きるかは決まらない。実際に何が起きるのか決めるのは素粒子自身の自律的な選択なのだと言う。

確かに量子力学の世界で最も支配的な法則はシュレディンガーの波動方程式だが、それ自体は物事の起こりやすさの確率の重ね合わせを表現しているに過ぎない。実際に何かが起こる時にその中のひとつが選択されることを波動関数の収縮というが、何故その収縮が起きるのかについて定説はない。
by ykenko1 | 2007-04-06 06:13 | 物理学 | Comments(0)

独り言

サイエンスライターの竹内薫氏によれば、量子力学の隠れた変数についてはアスペの実験によって否定されたかに見えたが、D.Bohmの量子ポテンシャルの理論はそれをうまくすり抜けているらしい。そっかー。そうなんだ。
by ykenko1 | 2007-03-21 07:33 | 物理学 | Comments(0)

The theory of everything (万物理論)

“The theory of everything”, R.B.Laughlin and David Pines, PNAS 2000.97.28-31

ノーベル賞を受賞したロバート・ラフリンが万物理論についてのコメントを書いている。元々はジョン・ホーガンが書いた『科学の終焉』という本に刺激を受けて書いたもののようだ。ホーガンが書いたのは、量子力学や相対性理論のような宇宙の究極的な法則が知られた今に至っては今後は新しい法則が出ることは期待できない。科学の終焉の時を迎えている、と言った内容のようで、それに対してラフリンは異議を唱える。

科学の世界では還元主義の方法論が主流を占めて来た。還元主義は複雑な高次の現象を単純で低次の現象に分解して理解しようとするもので、元々はギリシア哲学に出発点を置く。確かに還元主義は大いなる成功を収めてきて、量子力学はその究極の形であるが、量子の世界の法則を知ってみると、その法則だけでより高次の現象を説明することができないことが明らかになって来た。この法則だけでは惑星の土星についてや核融合や太陽や放射性同位元素の崩壊についてなどを説明することはできない。なぜなら重力や核内の相互作用等の情報が欠けているからだ。量子の世界においてもシュレディンガーの波動方程式を用いて予測することができるのはせいぜい10個程度の量子の現象しか説明できない。これは実践論的な問題のようで、1個の量子について波動方程式を計算するのに必要なコンピュータのメモリがNだとすると、k個の量子ではNのk乗のメモリが必要になる。そのためコンピュータで計算できるのはせいぜい10個程度だと言う。

現代は「科学の終焉」ではなく「還元主義の終焉」の時代を迎えているとラフリンは言う。P.W.アンダーソンの有名な言葉に「多は異なり(more is different)」という言葉があるが、低次の現象により高次の現象すべてを説明することはできない。そこにはまた違った要因が現れてくるからだ。そのためすべての現象を説明する「万物理論The theory of everything」は存在せず、「事物の諸理論The theories of things」が存在するだけである。高次の現象の解明のためには低次の現象から導き出された理論によるのではなく、あくまでも実験に基づくことが必要である。還元主義の科学は「複雑で適応的な物質の研究the study of complex adaptive matter」に変換されるべきである。

言われてみれば当たり前のことのようだが、これも究極の理論を知ったからこそこのように明言できるのだろう。(それから結局シュレディンガーの猫の問題も実験して確かめるしかないのだろう。ただ猫を殺してしまうようなことになれば可愛そうなのでゾウリムシ程度でどうだろうか?)
by ykenko1 | 2006-11-26 09:16 | 物理学 | Comments(0)

宇宙の縦糸と横糸

東京大学大学院理学系研究科佐藤勝彦教授(宇宙物理学)によれば、「物理学の究極の目的は、我々人類を取り巻いている全ての現象がどのように構築され、どのような物理法則が支配しているかを明らかにすることである。近代物理学は相対性理論と量子論を2本の縦糸とすれば、非平衡統計力学によるカオスや揺らぎが横糸となって織りなされている」とのこと(時空のデザイン展)。

ふーん。
by ykenko1 | 2006-10-08 00:45 | 物理学 | Comments(0)

情報力学

  以前、大矢雅則氏の『情報進化論』を立ち読みした内容で記事を書きましたが、今回、購入しました。大矢氏は情報力学という学問を1989年に提唱している。氏によるとシステムの複雑性を情報と考えていて、システムの状態の変化に伴う複雑性の変化を情報の変化と見て、そこにこれまで情報理論で知られている考え方を当てはめたもののようだ。しかしこれまでの理論をそのまま当てはめることはできないので、その部分については氏が独自に概念を立ち上げてそれに数理構造を与えている。今後の展開が楽しみです。
by ykenko1 | 2006-02-10 10:36 | 物理学 | Comments(0)

量子確率論的世界観

  皆さん、ご無沙汰してます。一応、生きてました。今回、nadjaさんのコメントに刺激されて久しぶりに記事を書きます。(読んでくれる人はどれぐらいいるか分かりませんが。)
  最近、アメリカのサイエンスライターの人で量子力学か化学の分野でPhDを取った人の話を聞く機会がありました。面白かったのでそのことについて書きます。彼によれば20世紀に量子力学の確立によってこれまでとは全く違った世界観が示されたのだけれど、それはあくまでミクロの世界のことだからと決めつけられてマクロの世界観はこれまで通りで良いとされてきたが、それで本当にいいのか?と言う訳です。現在、量子力学の世界観は化学のレベルまでには適応されつつあるのだそうな。しかしそれ以上のレベル、即ち生化学、生物学、認知神経科学のレベルなどにはまだまだ適応されていない。
  彼の主張の中心は結局、自然法則は決定論ではない確率論なのだ、ということのようです。Path of Least Actionという法則があって要は物理現象はもっとも抵抗の少ない道に従う(例えば光りが最短距離を結んで直進するというようなことだと思う)のだが、古い物理法則は物質が宇宙の法則によって強制的にそのような道を選ばざるを得ないと考えるが、量子力学の世界ではそのような道を選ぶ傾向があるとしか言えない。もし自然法則が決定論でないとすればこれまで知られていないような力が様々な現象の背後に働いているかもしれないとのこと。
  考えてみればミクロの世界は量子力学でマクロの世界はアインシュタインの相対性理論(限定された範囲ではニュートン力学)というのはいかにもちぐはぐで場当たり的だ。そういえば量子力学と相対性理論の統一が現代物理の難問だという話は前から聞いていたけれど、このことだったんですね。
by ykenko1 | 2005-12-04 23:24 | 物理学 | Comments(2)

存在と関係

  これまでは存在が主語になり、その存在相互の関係性が述語になってきたが、複雑に相互作用する系を記述するにおいては、関係が主語になり存在が述語になるような記述の仕方が相応しいのではないか?
by ykenko1 | 2005-09-08 23:41 | 物理学 | Comments(0)

情報と物質

  aidiaryさんの記事(コンピュータウイルスはパソコンを破壊できるか?)とそこでのコメントのやり取りがとても面白く、そこからアイデアが湧いてきたので記事を書きます。
  aidiaryさんの記事で面白かった問題提起はロボットなどでプログラムがなぜ物質であるロボットの身体を動かせるのか?というもの。私は「情報と物質」の関係をどう考えるのか、ということだと考えたのですが、私は情報は物質に影響を与えることができるし、物質は情報から影響を受けうる要因を持っているのだと思う。
  例えばビリヤードのことを考えてみよう(私はやったことがないんですが…)。名人が玉Aを打つとその玉Aは別の玉Bにぶつかって、Bはまるで意志のある生き物のように曲がったりぶつかったりしながら、隅っこの穴に落ちる。このときの玉Bの動きが何故生じたのだろうか?もちろんそこにはエネルギー保存側が働いていて玉Aの持っていた運動エネルギーが玉Bに移って玉Bはそのエネルギーの命ずるがままに動いたにすぎない。しかしそこにおいてやりとりされたエネルギーはただ単なるエネルギーではなく、ある情報を運んでいた。その情報はどこから来たかと言うとビリヤードの名人の頭の中の構想から来たものである。名人の頭の中の構想は名人の腕と手の動きを通して玉Aへ、さらに玉Bへ伝わっていった。つまりそのようにしてただ単にエネルギーの受け渡しだけではなく、情報の受け渡しもなされていたのだ。
  コンピュータのプログラムがロボットを動かすのもこれと同様ではないか。ロボットには動力源があって、それがロボットの身体を動かすエネルギー源だけれども、そのエネルギーの流れを制御しているのが、プログラムである。そのプログラムがどこから来たかと言えば、そのプログラムを作った人間の頭の中から出てきた訳ですが、その頭の中の情報がプログラムという形を取り、それがさらにロボットが元々持っているエネルギーの流れを制御(情報がロボットの持つエネルギーに伝えられた)した。つまりエネルギーが情報を運び、情報がエネルギーを制御した。
  このような観点で情報物理学という分野を立ち上げられないでしょうか?
by ykenko1 | 2005-08-03 23:07 | 物理学 | Comments(6)