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パターン特異的反応性(PSR; Pattern Specific Reaction)(2)

さて、私の考えるパターンについて分かりやすく定義すると「パターンとは事物の特徴の組み合わせである」と言うことになる。ここで私が問題提起したいことは、そのようなパターンが問題になるのは、果たして多数の要素が相互作用するようなシステムにおいてだけなのであろうかと言うことである。もっとシンプルなシステムにおいてもパターンが重要な役割を果たしてはいまいか?

例えばスイッチを考えてみよう。電池があって、電球があって、銅線があって、スイッチがあるような回路である。スイッチを押す時はもちろんエネルギーが必要であるが、同じエネルギーを投入してスイッチ以外の場所を押しても、このシステムでは何も起こらない。スイッチを押した時のみ電球が点く。ここにおいて投入されたものは何であろうか?スイッチの場所と言うシステムにおける特異的な場所でのエネルギーの投入と、スイッチが入ることによって銅線がつながるというパターンの変化である。システムの関係性の変化と言っても良い。それは量の変化とは別ものである。スイッチ以外の場所で強い力で押したとしても、それに比例した変化は生じない。

別の例を挙げる。二つのボールA,Bの衝突を考えてみよう。台の上で運動する二つのビリヤードボールが衝突する場面を想像してほしい。この現象において、衝突の前後で作用反作用の法則や運動量保存の法則が成り立つ。しかし衝突と言うイベントが発生するかしないかについては、AとBそれぞれがどういう速度でどういうタイミングで運動しているかと言う時間的な関係性とどういう方向で運動しているのかと言う空間的な関係性が関わっている。それは量の問題ではなく、量の組み合わせの問題である。

量とパターンとは違うのである。(これは実はベイトソンの言葉だ。cf.『精神と自然』)
by ykenko1 | 2014-02-04 23:31 | 情報論 | Comments(0)

パターン特異的反応性(PSR; Pattern Specific Reaction)(1)

私は自然科学の分野においてパターン特異的反応性(PSR; pattern specific reaction)と言う概念を新しく立てるべきだと考えている。それはどういうことか、以下に説明してみる。

これまで物理の世界においては、運動や質量やエネルギーなどの客観的に定量化できるものごとの因果関係について取り扱ってきた。その第一の集大成がニュートン力学であり、第二の集大成がアインシュタインの相対性理論である。

一方で物質の組成がどのようになっているのかを追求してきたのが、化学であり、その第一の集大成は元素表である。その第二の集大成は物理と化学を合わせた形の量子力学である。

20世紀になり、物質とエネルギーのマクロの世界の究極理論が相対性理論であり、ミクロの世界の究極理論が量子力学と言うことで、未だに相対性理論と量子力学を結びつける大統一理論は完成していないとは言え、一応物質とエネルギーの世界の因果の全てを説明する理論が整ったように思われたのだ。(ある人はこれで科学的探求はほとんど究極まで行き着いたと言う意味で『科学の終焉』と言った。)

しかし、そのような世界観からはみ出す領域について同じ20世紀に広く知られるようになった。カオスや複雑系と言った非線形力学の領域である。

それらの領域の特徴は、多数の要素からなるシステムの複雑な相互作用から生じるパターンへの注目である。それはエネルギーのような量への注目でもなく、構成する物質が何であるかと言う個物への注目でもない。物質やエネルギーが時間的空間的にどのように組み合わされているのかと言う関係性への注目である。

(しかし自然科学の世界で最初にパターンについて注目し、定式化したのは19世紀の熱力学の分野のエントロピーの概念である。)
by ykenko1 | 2014-02-04 23:30 | 情報論 | Comments(0)