パターン特異的反応性(PSR; Pattern Specific Reaction)(1)

私は自然科学の分野においてパターン特異的反応性(PSR; pattern specific reaction)と言う概念を新しく立てるべきだと考えている。それはどういうことか、以下に説明してみる。

これまで物理の世界においては、運動や質量やエネルギーなどの客観的に定量化できるものごとの因果関係について取り扱ってきた。その第一の集大成がニュートン力学であり、第二の集大成がアインシュタインの相対性理論である。

一方で物質の組成がどのようになっているのかを追求してきたのが、化学であり、その第一の集大成は元素表である。その第二の集大成は物理と化学を合わせた形の量子力学である。

20世紀になり、物質とエネルギーのマクロの世界の究極理論が相対性理論であり、ミクロの世界の究極理論が量子力学と言うことで、未だに相対性理論と量子力学を結びつける大統一理論は完成していないとは言え、一応物質とエネルギーの世界の因果の全てを説明する理論が整ったように思われたのだ。(ある人はこれで科学的探求はほとんど究極まで行き着いたと言う意味で『科学の終焉』と言った。)

しかし、そのような世界観からはみ出す領域について同じ20世紀に広く知られるようになった。カオスや複雑系と言った非線形力学の領域である。

それらの領域の特徴は、多数の要素からなるシステムの複雑な相互作用から生じるパターンへの注目である。それはエネルギーのような量への注目でもなく、構成する物質が何であるかと言う個物への注目でもない。物質やエネルギーが時間的空間的にどのように組み合わされているのかと言う関係性への注目である。

(しかし自然科学の世界で最初にパターンについて注目し、定式化したのは19世紀の熱力学の分野のエントロピーの概念である。)
# by ykenko1 | 2014-02-04 23:30 | 情報論 | Comments(0)

『通信の数学的理論』シャノン、ウィーバー

※書評と言うか自分自身のための読書メモのようなもの。どこかの誰かの参考になれば幸いなり。


『通信の数学的理論』クロード・E・シャノン、ワレン・ウィーバー
(ちくま学芸文庫)

情報の話になれば、必ず出てくるのがシャノンのこの論文である。シャノンの論文とウィーバーによる解説と言う2つの論文になっている。

シャノンの情報理論は工学的観点からメッセージを送ること、つまり通信のこと、を考えたもの。

ワレン・ウィーバーの整理(通信の3つのレベル);
レベルA(技術的な問題)通信において記号をどのくらい正確に伝えることができるのか。
レベルB(意味的な問題)送信された記号はどのくらい正確に所望の意図を伝えることができるのか。
レベルC(効果の問題)受信された意図はどのくらい効果的に所望する行為に影響するのか。

シャノンの理論はレベルAの問題を扱っている。(そして意味の問題は無視している。)

彼が問題としているのは、どのようなメッセージを送るかではなく、どのようなメッセージを送り得るのかと言う可能性の問題であり、個々のメッセージではなく、全体の状況の問題である。

例えば英語ではAと言う記号が出現する確率は○○、その次にBという記号が出現する確率は○○、と記号列が次々に出現する確率がおおよそ定められる。(数学的にはマルコフ過程という確率過程のモデルが用いられる。)

記号が出現する確率とは選択の自由度(不確かさ)でもある。それを2を底とした対数で表現し、それらを足し合わせたものをシャノンはエントロピーと呼んだ。統計力学のエントロピーと同様の形式を持っているからである。

統計力学におけるエントロピーとシャノン情報におけるエントロピーの相似性の理由;
ある分子の周囲の分子が存在する確率(選択の自由度)と記号列の次の記号の存在の確率(選択の自由度)が似ているから。


エントロピーの高い状態(秩序のない状態)の方が情報量が多いとしたが、これはその状態を表現するのに手間がかかると言うこと。(チャンネルの容量や通信速度など)

シャノンの情報理論と言うより通信理論と言った方が良いのではないか。情報量と言うより通信量とか通信関連容量などと言った方が良いのではないか。
# by ykenko1 | 2013-08-16 21:33 | 情報論 | Comments(0)

『情報と宇宙(仮)』論文執筆のこと

私の本職とは全く関係ないのだが、現在『情報と宇宙(仮)』と言う論文を執筆している。宇宙の中における情報概念の位置付けと言った内容である。

ブログでは直接その論文の内容は書けないけれども、読んだ本の書評や論文周辺のこと、日々のことなどを書いていきたい。

出版することも考えているのだけれど、うまく行くかどうか全く分からない。

そんな感じです。
# by ykenko1 | 2013-08-08 22:03 | 情報論 | Comments(0)

「実践とは」中村雄二郎

中村雄二郎の『臨床の知とは何か』(岩波新書)の中で好きな言葉。

「実践とは、各人が身を以てする決断と選択をとおして、隠された現実の諸相を引き出すことなのである。」

深いね。
「引き出す」って言うところが良い。
# by ykenko1 | 2013-08-01 18:22 | 言葉の力 | Comments(0)

ボトムアップ型文章術

 文章の書き方にはトップダウン型とボトムアップ型があると思う。
 トップダウン型は初めから順番に書き進めて行く普通の書き方である。
 一方ボトムアップ型はまず材料となるものを幾つかのブロックに分けて、それぞれのブロックから書いていくやり方である。更に細かくブロックにもならない断片から書き進め、それを蓄積していってブロックにして、更にはそれらのブロックを組み立てて全体を作り上げて、整合性が合うように調整するやり方もあるだろう。
 トップダウン方式で難しい時は、ボトムアップ方式を試したら良い。
# by ykenko1 | 2013-07-28 00:05 | その他 | Comments(0)

Siri革命

 例えば昨年iPhone 4Sが発売された時に、あまり目新しいものもなく期待はずれだったと言うメディアの見方が多かった。(しかし大変売れ行きは好調だったけれども。)
 しかし4Sから組み込まれたSiriは実は革命的なアプリケーションではないか?!今回、ようやく日本語対応になった。
 Steve Jobsの理想はテクノロジーによって個人のエンパワメントをすることだった。そこが企業向けのセールスに力を注いだマイクロソフトとの違いであった。アップルの標語は“The computer for the rest of us(普通の人々のためのコンピュータ)”であった。その流れの中で出てきたのがMacのGUIである。
 更にその究極の形がSiriだ。未だ不完全な形ながらもSiriは自然言語さえ使えれば、PCやアプリケーションに関する知識がほとんど必要なく、キーボード入力さえいらない、子供から高齢者まで誰にでも使える究極のインターフェース。このもの凄さに気付いている人はどれぐらいいるのだろう?あまりピンと来ていない人が多いのではないか?
 おそらくiTVにもSiriは組み込まれるだろう、と言うのが私の予測。
 Siriを制する者は世界を制する!

※追記
 最近、ドコモから「しゃべってコンシェル」と言う、Siriにように自然言語を理解するアプリが出てきていてしかも結構すぐれもの。もうそういう時代なんだな。orz
# by ykenko1 | 2012-03-12 22:46 | その他 | Comments(0)

iPad;『マーカス・チャウンの太陽系』の衝撃

 iPadで『マーカス・チャウンの太陽系』をダウンロードしていじってみて衝撃的体験をした。
 内容は太陽系についての科学的な知識を伝える一種の教科書的なものなのだけれど、そのインタラクティブ性によりとても興味深く、高度な内容が一瞬にして心に定着するのだ。15分ぐらいの間に今まで専門外にてよく知らなかった短周期彗星、長周期彗星、カイパーベルト、オールトの雲の話、なぜ冥王星が惑星から準惑星に降格したか、岩石の惑星とガス惑星、などの内容が本当によく理解できた。腑に落ちた、と言うか。おそらく今後もこの知識は簡単には忘れないと思う。
 この電子書籍がよくできている点は、網羅的ではなくて興味深いストーリーによって全体を貫いている点だ。そのため様々な知識が自然と吸収できる。
 ヴィジュアルな本も分かり易いが、インタラクティブな電子書籍は分かり易い上に操作そのものが面白いため、入り込み易い。インタラクティブであると言うことは、ある対象に対してこちらが操作を加えた時にどのような振る舞いをするかを計算して返してくるということ。空間の3次元のみならず、時間(運動)の要素も含めた対象の4次元の振る舞いが表現されているということ。自分の興味の内容に導かれて行きつ戻りつしながら、より対象の様々な部分や奥深くまで入り込んでいけるということ。
 この書籍の中でのインタラクティブの代表例は太陽系儀だ。すなわち水星がこれぐらいのところを回っている時に、金星はこれぐらいのところをこれぐらいの速さで動いていて、地球は…、と言った太陽系の星々の動きをシュミレーションしているもの。昔は銅製の太陽系儀があって、それによってそれぞれの惑星の動きをプレゼンテーションしていた。
 
 今後、教科書はこういうものが多くなるのだろう。そうすると子供達は抽象的な数学や高度な知識もこれまでの何倍も速いスピードで吸収していくことになるのだろう。恐ろしいような素晴らしいような未来を垣間見た気がした。
# by ykenko1 | 2012-03-03 18:38 | その他 | Comments(2)

スティーブ・ジョブスの伝記を読んだ。

スティーブ・ジョブスの伝記を読んだ。とても感動して言葉にならない。

人格的には多くの問題のある人で、精神医学的には自己愛性人格障害ということになるかも知れない。

しかし、彼のお陰でこの世界は間違いなく少しはましになった!(私の人生も含めて)

この記事もiPad2で書いている。最初はiPadもiPod touchが大きくなっただけと考えていたが、今ではもうそれなしには生きていけないように感じる。

OS X Lionも最初はその良さが分からなかったが、今ではMission Controlが気持ち良くて仕方がない。

彼の作り出すものは常に個人をエンパワメントすることとテクノロジーを結びつけるものだった。

彼はヴィジョンの天才であった。

ありがとう、スティーブ!Rest in Peace!


*本書の中でスティーブが死ぬ何ヶ月か前にビル・ゲイツと会話する場面にはしんみりした。しかも、これは本書ではなくネットの記事で知ったのだが、死ぬ一週間まえにもスティーブはゲイツを呼んで夕食を共にしている。泣けた!
# by ykenko1 | 2011-11-07 23:29 | 人生、哲学 | Comments(0)

ネット空間における信頼の獲得

 ネット空間において人々の信頼を勝ち取るためには、通常のリアル空間における努力とは別の種類の努力が必要とされる。ネット空間においては、その人の行いは相手には見えず、その人が言語的に表現したことだけが、その人を表示しているためだ。
 またリアル空間においては相手との人間関係の文脈(例えば友人、家族、職場の同僚、etc)が明確だが、ネット空間においてはそのような文脈は明確ではない不特定多数の人々を相手にしていることが多い。そのためにお互いの関係性があいまいであり、不安定である。
 そのようなネット空間特有の信頼関係維持の努力が私にはとてもわずらわしく感じられることがある。何故、一々自分のしていることに言い訳をしなければならないのか。そんな思いになってしまうためだ。
# by ykenko1 | 2011-09-18 15:55 | その他 | Comments(0)

大前氏の福島原発に関する解説

大前氏の福島原発に関する解説

 説得力があり、非常に分かりやすい。大前氏は以前、原発を設計されていたとのこと。

 原子炉のメルトダウンだけではなく、国債のメルトダウンにも対処しなければ日本の未来はない模様。

 福島原発周囲の何キロかの、あの地域は永久凍結しなければならないのか?

 私も被災地で過ごしているけれども、現在はガスが止まっているのと、ガソリンが調達できないのが不便なぐらいで、沿岸部の方々と比べれば大した事はない。今は被災後の急性期を過ぎて、亜急性期の時期に入り、長期的な戦いの時期に入っている段階。疲れが出てくる時期。
# by ykenko1 | 2011-03-30 17:44 | その他 | Comments(0)