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アリセプトと不定愁訴

「お腹が痛い」などの不定愁訴が強い患者さんで何度も医師や看護師のところにやってくる方がいた。記憶障害も比較的軽度で画像上でも海馬や海馬傍回の萎縮も軽度で、アルツハイマー病というよりも老年期抑うつ状態と考えていたが、試しにアリセプトを投与したところ、不定愁訴がぴったり止まり、ご本人の自覚としても「前より落ち着いているようです」とのこと。アルツハイマー病だったのだと改めて納得。
by ykenko1 | 2007-02-08 20:12 | 認知症関連 | Comments(0)

自分の職場でsynchronous oscillationに関する研究ができるかもしれない。

自分の職場でsynchronous oscillationに関する痴呆症患者を対象にした臨床研究ができるかもしれない状況になってきた。うまくいけばとても面白いし、直接的に患者さんの役に立つことになりそうだ。
by ykenko1 | 2007-02-03 23:29 | 脳科学 | Comments(2)

ADにおける社会的ネットワークと認知機能

“The effect of social networks on the relation between Alzheimer's disease pathology and level of cognitive function in old people: a longitudinal cohort study”
Bennett, DA., Schneider, JA., et al
Lancet Neurol 2006;5:406-412

縦断的なコホート研究で89人の痴呆を伴わない高齢者を死亡までフォローアップし、その脳の病理変化と生前の認知機能と社会的ネットワークの程度との関係を調べた。結論としては社会的ネットワークが豊富であるほど、同じアルツハイマー病性の病理変化があっても認知機能は保たれていた。特に意味記憶とワーキングメモリにその効果が強く認められた。辺縁系・連合野・皮質下核を含む社会的認知に関与するような領域の活用が病理変化に対する代償機能をもたらすのではないかと考察している。

しっかりした研究デザイン。これが本当だとすれば大変面白い。
by ykenko1 | 2007-01-26 00:32 | 認知症関連 | Comments(0)

血管性リスクファクターとアルツハイマー病の進行の関係

NEUROLOGY 2006;67:1357-1362
“Relationship of vascular risk to the progression of Alzheimer disease”

ここ10年ぐらいの間、アルツハイマー病のメカニズムと血管性病変のメカニズムの相互作用の問題が話題になっている。いくつかの研究でこれまで血管性病変のリスクファクターと考えられていたもの(高血圧や糖尿病)がアルツハイマー病の発症を促進する可能性が示唆されたためだ。この論文もその文脈の中での研究だ。

224名のアルツハイマー病患者で血管性のリスクファクターがある者とない者を18ヶ月フォローアップ。結果としてはリスクファクターがある者とない者でアルツハイマー病の進行に有意差はなかった。ただしこの18ヶ月の間に脳血管障害のイベント(脳卒中など)があった者は有意に認知機能障害の悪化を認めた。年齢・性・教育歴・痴呆の重症度・抑うつ・コリンエステラーゼ阻害剤の服用の有無などを共変量として投入しても結果は変わらなかった。

血管性のリスクファクターはアルツハイマー病の症状の最初の表現のされ方に影響を及ぼすが、アルツハイマー病そのものの病変の進行には関与していないのではないか、と考察。
by ykenko1 | 2006-10-28 23:02 | 認知症関連 | Comments(2)

アリセプトで海馬の萎縮速度が遅くなる

Am J Psychiatry 162:676-682, April 2005

54名のアリセプトを投与されたアルツハイマー病患者と93名の投与されない患者で1年間のフォローアップを行い、前後でMRIを撮影。海馬の萎縮の進み具合を比較するとアリセプト投与群の海馬の萎縮度が1年間で平均3.82%( SD;2.84%)だったのに対して、非投与群は平均5.04%( SD;2.54%)で、有意な差があった。アリセプトには神経保護作用があるのではないかと考察。

アリセプトはアルツハイマー病患者の脳においてアセチルコリンを増やす作用があるが、こんな作用もあるのか?
by ykenko1 | 2006-10-23 17:54 | 認知症関連 | Comments(0)

変わった言葉の障害

脳に障害を負った方で変わった言葉の障害を表現することがある。

反響言語 echolalia;相手から言われた言葉をそのまま繰り返して言ってしまう。
同語反復 palilalia;自分の話した言葉を繰り返して言う。
滞続言語 stehendes Reden(レコード言語 gramophone speech);ある程度まとまった文章を繰り返し言う。
語間代 logoclonia;単語の終わりの音節を繰り返して言う。(ex おはようございますますますます…)
吃音 stuttering;単語の始めの音を繰り返して言う。(いわゆるどもるということ)
by ykenko1 | 2006-10-21 09:57 | 医学・医療 | Comments(0)

空想と現実の区別とそれを支える神経基盤

昔(2004.11.17)、複雑系の認識論(2);脳はいかにして空想と現実を見分けているのか?という記事を書いた。(本当に昔のネタを再度持ち出して申し訳ない。)内容としては人間が如何にして空想と現実を区別しているのかという認知心理学的な研究の話であった。結論としては脳の中の情報処理過程でボトムアップ的な処理の痕跡が強いものが現実として認識され、トップダウン的な要因が強く残っている者が空想として区別されるというような話であった。(前回の記事に追加するとすれば、空想は一面的なアクセスであるのに対して現実は多面的なアクセスが可能という面も指摘できるだろう。)

上記の話はあくまでも健常者の認知のお話。痴呆症の方や統合失調症の方が妄想という症状を呈するような場合はこれとはまた違ったファクターが絡んでくる。妄想の場合、誤りを訂正できないのが特徴で、妄想内容をご本人は確信している。確信とは情動のひとつの有り方なので単に認知の次元に収まらない。アルツハイマー病で妄想の症状を呈する場合は右大脳半球の障害が強い場合が多いと言われている。ラマチャンドランという有名な神経科学者の説によれば、左の大脳半球は放っておくと自分の手元にある情報から合理的な作り話を構築してしまう。それに対して右半球は左半球の作り話を現実と比較してその整合性をチェックする働きをしていると言う。ウェルニッケ・コルサコフ症候群と言ってアルコール依存症やビタミンB1欠乏症の方が物忘れや見当識障害、作話等の精神症状を呈することがある。作話とは本人に悪気はないのだが、どんどん作り話をしてしまう症状。この症候群を来す部位としては前脳基底部といって脳の前方底面に近い場所の障害が指摘されているが、この部位も人間の現実感覚をチェック(リアリティ・モニタリング)するとして考えられている。
by ykenko1 | 2006-10-17 15:47 | 認識論 | Comments(0)

肥満と認知機能

Neurology 2006;67:1208-1214

フランスの横断的研究で2000名を越える健常成人においてBMI30以上のものはそれ以外の者と比較して有意に認知機能が低かった。インスリン抵抗性などが関与しているのか?
by ykenko1 | 2006-10-16 13:28 | 認知症関連 | Comments(0)

論文の書き直し

投稿していた論文が査読されて返ってきた。60日以内に書き直して送り返すように、とのこと。トホホな状態だが、頑張るしかないね。
by ykenko1 | 2006-10-05 18:21 | 認知症関連 | Comments(0)

アルツハイマー病と作業

気まぐれさんのブログ(作業療法理論から作業療法を再考する)のコメントのやり取りの中で「人間を作業を通して再構成する」という気まぐれさんの話が気にかかっていた。

改めて入院している患者さん達を作業と言う観点で注目して見ると、面白いことが分かった。同じアルツハイマー病で認知機能検査では同じ程度の重症度でも落ち着いて作業できる人とできない人がいるのだ。この違いは何だろう?ひとつの研究テーマになりそうだ。
by ykenko1 | 2006-10-05 18:12 | 認知症関連 | Comments(2)