パターン特異的反応性(PSR)の定式化

パターン特異的反応性(PSR)の定式化はどのようにしてなされるだろうか?

それは計算論によってなされる。計算論とはコンピューター上においてなされる計算を取り扱う数学の一分野である。離散数学と呼ばれることもある。ここにおいて注意しなければならないのは、計算と言う言葉である。コンピューター上でなされている計算はいわゆる数値の計算だけではなく、論理演算のように記号をある一定の規則に従って処理するようなものも含んでいることである。

計算論的なアプローチが記号の直列的な処理であるとすれば、記号の並列的な処理のモデルはセル・オートマトンである。(と言うかセル・オートマトンも計算論の一部分ですが。)セル・オートマトンは自己複製機械を考察するためにフォン・ノイマンによって考案されたモデルで、幾つかのセルがあって、そのセルがいくつかの状態を取ることができて、その近傍のセルの状態によって次の時間にどのように状態が変化するかについてのルールが決まっている。そのようなセルの時間的な状態変化を見ていくものである。

そしてこのような形で物質世界を理解しようとするアプローチは既に何人かの代表的な研究者たちによって切り開かれている。(MITの人たちが多い。)

・ツーゼ(Zuse,“Calculating Space”
・フレドキン(Fredkin, “Digital Mechanics”
・ウルフラム("A New Kind of Science"1200ページを越える大著;凄い人ではあるが、ちょっと考え方が偏っているのでは?)
・ロイド(Lloyd, “A theory of quantum gravity based on quantum computation”


教科書
・Schiff『セルオートマトン』(日本語なので取っ付きやすい)
・Ilachinski “Cellular Automata; A Discrete Universe”(一番総合的でバランスが取れた本)
by ykenko1 | 2014-03-01 19:32 | 情報論 | Comments(0)


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