『身体を持つ知能』(脳科学とロボティクスの共進化);フランシスコ・ヴァレラ『身体化された心』と同じ路線の考え方で、工学的に知能を実現しようとするもの。元ソニーコンピュータサイエンス研究所の土井利忠氏が中心。インテリジェンスダイナミクスの考え方に基づき、新しい環境の中でも自律的に振る舞い、適応し、発達学習するロボットの開発を進めている。一つの身体で複数のタスクを学習する事ができるMINDY(Model of INtelligence DYnamics)は素晴らしい。 本書の中で脳科学者の伊藤正男氏がヒトの小脳には運動のモデルのみならず思考のモデルがある(例;自閉症の小脳の異常)とする考え方を示していたが面白い。
by ykenko1
| 2007-07-24 16:20
| AI, ロボット
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Comments(2)
これは面白そうな本ですね。
最近、シナプス可塑性にもとづいて、同じ知覚処理でも、繰り返すごとに、処理速度や効率が向上するような人工知能システムが開発されたようですね。 ちなみに、Varelaは神経現象学で神経科学と現象学は相互拘束的な関係にあると言いましたが、さらに第3の領域としてロボティクスやシミュレーションを加えてもよいと思えてきました。
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ykenko1 at 2007-08-11 10:30
認知科学のモデルのほとんどはコンピュータの記号処理を使っていますから、それとは別に身体を持つロボットに知能を持たせる試みの中でヒトの知能の本質に迫るというのも新しい方向性として面白いのだと思います。QRIOというロボットにMINDYのシステムを実装させて実験をしているのですが、その時にロボットが学習し続けていくための動機付けが重要なようです。動機には内発動機と外発動機があって、内発動機にはチクセントミハイのフロー理論を使っていたり、外発動機には食欲と疲労があったり、面白いです。知能とは何かというモデルを考えて行く中で「人間から見て発現する行動を完全に予測することはできないが、現れた行動の多くは説明できる事」をひとつの用件としていますが、これもまた興味深かったですね。
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