がんばれ!日本人研究者(7);梅沢博臣・保江邦夫・治部真理

   クオリアの問題(2004.5.1.クオリアについて)を考えようとするときに、私はどうしても量子力学の観測問題が一緒に浮かんできて、この二つの問題は何らかの形で関係があるというように思われて仕方がありません。また量子力学の確率的因果論の中に人間の自由意志が存在する可能性があるのでは、とも考えています。ただその場合に問題となってくるのが量子力学はあくまでも素粒子というミクロのレベルを取り扱っているので、それをそのまま脳のようなある程度のマクロのレベルにもってくると「シュレディンガーの猫」のような矛盾性をきたしてしまいます。
  このように心脳問題と量子力学を結びつけようとするときに生じる大きさのレベルの問題を解決できるかもしれないと思わせてくれるのが、場の量子論を発展させた「梅沢・治部・保江」の量子脳力学です。
  彼らはマクロの物体のことを巨視的凝集体と呼んでいますが、脳組織のことを頭蓋内の電子場と核子場の巨視的凝集体としてとらえています。電気的なプラスとマイナスが少し位置的にずれた形に配置されている構造のことを電気双極子と呼びますが、彼らは脳の70〜80%を構成している水の電気双極子場の集団運動(ポラリトン)に焦点を当てます。水は脳細胞の内と外に存在します。また細胞にはその形を支える構造として微小管(マイクロチューブル)が存在しますが、治部らは微小管が極短幅のパルス光(超放射光)を放射する量子光学的活性をもつことを示しました。またこのようなパルス光は微小管内を減衰することなく伝搬することも発見しました。このような細胞内の微小管によりパルス光の量子光学ネットワークが張り巡らされ、また細胞外の水の電気双極子場の集団運動が互いに干渉しあってつくられる波の量子化された運動とあいまって形成されるのが量子脳力学からみた心の物理像だ、と主張しています。
  微小管は脳細胞だけではなく全身のすべての細胞の中に存在するのですが、脳は頭蓋骨によりある種の密閉された環境にあるのでそのことによって特に上記のような現象が強く現れるのではないか、と保江は推論しています。

参考書;『脳と心のバイオフィジックス』〜「心の量子論」保江邦夫〜(共立出版)
    『脳と心の量子論』治部真理・保江邦夫(講談社ブルーバックス)
by ykenko1 | 2004-07-24 11:38 | 日本人研究者 | Comments(2)
Commented by it1127 at 2004-07-24 16:50 x
ykenko1さん、こんにちわ
>人間の自由意志が存在する可能性があるのでは
人間の振る舞いは、他人が観ている時と、観ていない時とで異なる、このことを量子論の観測問題と似ているなんてぼくも思ったりしました(笑)http://it1127.cocolog-nifty.com/it1127/2003/12/post_18.html
あと、専門的なことはよくわかりませんが、なんか関係してそうな気がします。
Commented by ykenko1 at 2004-07-24 17:43
>人間の振る舞いは、他人が観ている時と、観ていない時とで異なる、このことを量子論の観測問題と似ているなんてぼくも思ったりしました(笑)
…(爆笑)です。


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