柔軟な脳のシステム

男の子が砂場で遊んでいる。2〜3歳ぐらいだろうか。その子供はまだ砂場で遊び続けたがっているが、親は辺りも暗くなってきたので「お家に帰ろう」と言う。しかし子供は言う事を聞かずに泣き出す。親は知恵を使い「お家に帰ってアイスクリーム食べよう!」と言うと、子供は「アイス?」と言って急に泣き止み、自分で砂をはらって「アイス!」「アイス!」と言いながら家に向かって走り出す。

この時、この男の子の脳の中では何が起こっているのだろうか?「砂場で遊び続ける」という目標を中心として軌道(アトラクタ)を描いていたシステムが、「アイスクリームを食べる」という新しい目標を中心としてまったく新しく編成され、別の軌道(アトラクタ)を描くようになったのだ。そこにはおそらく間違いなく腹側被蓋野から側坐核に至るドパミン系ニューロンの影響があるのだろうけれど、このような柔軟でありながらも秩序正しいシステムが脳の中にいかにして実現しているのか?またこのような巧妙なシステムが生物の歴史の中でいかにして発生してきたのか?
# by ykenko1 | 2007-02-16 23:21 | 脳科学 | Comments(0)

Gregg Rosenberg "A place for consciousness"

David Chalmersが彼のブログで勧めていたのでGregg Rosenberg "A place for consciousness"を読んでいる。心の哲学の分野の本。Rosenbergによれば意識の問題を解明するには因果律の問題を考え直さなければならない、と言う。彼の立場はリベラルな自然主義(Liberal Naturalism)と自称しているが、Chalmersに似てある種の二元論で、自然界の根底には単なる物質を越えた側面があるとしている。彼はLiberal NaturalistとしてDavid Chalmers, Thomas Nagel, Wilfrid Sellars, Abner Shimony, Grover Maxwell, Michael Lockwood, Alfred North Whitehead, David Ray Griffin, Bertrand Russellらを挙げている。私自身もLiberal Naturalismに近い考えを持っている。
# by ykenko1 | 2007-02-12 07:10 | 心の哲学 | Comments(0)

アリセプトと不定愁訴

「お腹が痛い」などの不定愁訴が強い患者さんで何度も医師や看護師のところにやってくる方がいた。記憶障害も比較的軽度で画像上でも海馬や海馬傍回の萎縮も軽度で、アルツハイマー病というよりも老年期抑うつ状態と考えていたが、試しにアリセプトを投与したところ、不定愁訴がぴったり止まり、ご本人の自覚としても「前より落ち着いているようです」とのこと。アルツハイマー病だったのだと改めて納得。
# by ykenko1 | 2007-02-08 20:12 | 認知症関連 | Comments(0)

自分の職場でsynchronous oscillationに関する研究ができるかもしれない。

自分の職場でsynchronous oscillationに関する痴呆症患者を対象にした臨床研究ができるかもしれない状況になってきた。うまくいけばとても面白いし、直接的に患者さんの役に立つことになりそうだ。
# by ykenko1 | 2007-02-03 23:29 | 脳科学 | Comments(2)

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# by ykenko1 | 2007-02-02 06:57 | Comments(0)